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​Story

◇女帝編(オスティ暦-20年~8年)

勇者アルトが生まれるおよそ四百年前。ある日突然生じた世界の異変により、人間界、魔界、天界――三界は混沌の時代を迎えていた。
人間界は今の平和な姿とは違い、悪が蔓延る世界だった。そんな時、とある農村で暮らしていた少女が、天使によって勇者に選ばれる。
「あなたがこの世界を救うのよ、不思議な力を持つお嬢さん」
のちに女帝と呼ばれる少女が、いかにして三界を今の姿へと変えたのか。

 

◇勇者編(オスティ暦434年~453年)

魔王にとらわれた天使を救うため、勇者アルトは王国騎士団と共に魔界へ赴く。

しかし魔界にたどり着いたのはアルトだけで、そこにいた魔王は悪魔とは言いがたい少女だった。

ついには「魔王と一定の距離を離れたら死んでしまう」呪いをかけられて、アルトはやむなく魔界に滞在することになる。

​呪いを解くために協力すると出された、交換条件――「貴方の素敵なその魂、ペロペロさせてください!」

◇英雄編(オスティ暦453年~551年)

偉大な英雄の手によって、世界崩壊の危機は免れた。

彼は民衆が望む理想の英雄を演じ、他人のために自分の全てを捧げる決意をする。

誰もが彼に言う。「貴方の生き方は間違っている」それでも「貴方の生き方は美しい」と言ってくれた人がいたから、彼は歩んでいけた。

「一生のお願いだよ、アルト」最期の瞬間まで、彼が愛する人に望んだのは――。

 

◇魔神編(オスティ暦783年~)

世界の崩壊を防ぐために、やむを得ず愛する魔王を殺した勇者。
だが、その罪悪感に耐え切れず勇者は魔神へと堕ちた。
世界を滅ぼそうとした魔神だったが、三界、英雄との戦いに敗れ、帝国の地下牢に封印されてしまう。
それから数百年後。彼の前に、かつて自らの手で殺した、魔王の生まれ変わりの少女が現れた――。

 

◇???編(オスティ暦??年~)

Glossary

◇人間界

オスティ暦1年、人間界はクレプスクルムとして統一された。しかしオスティ暦8年、内乱によって帝国は分裂。新たにルーキス・オルトゥスが帝国として誕生した。

二つの帝国は約400年もの間接触はしなかったが、英雄エドの働きによって関係を修復したと思われる。

魔神編では魔法と科学が共存し、互いの帝国の文明は発展している。

クレプスクルム:人間界、大陸の西に位置する帝国。通称「魔法の国」。女帝ジルベルタ・オスティが治めている。

帝都:クレプスクルム帝国の中心で、女帝が住まう城がある。市場はとても賑わっており、すべての物はここに集まると言われている。流行の最先端でもあり、特に帝都限定のアイスクリーム屋は何百年たっても人気店である。たまに城下で女帝らしき人物を見かけることができるが、女帝本人はそっくりさんなので決して自分ではないと否定している。

魔法学院都市:クレプスクルム北東に位置する街。ローレンスが創立した魔法学院を中心に人々が集まり街ができた。規模は国一つと同等である。いたるところで院生の姿が見られ、街には露店も多く常にお祭り気分なので、活気にあふれている。

ベルンシュタイン:クレプスクルム東に位置する国。気候は穏やかで、冬もあまり厳しくはない。農業が盛んで牧歌的な国でもある。かの英雄が生まれた国であることから、観光地としても有名になる。英雄亡き後、彼の遺体はこの国に安置され、今なお英雄へ祈りを捧げに訪れる人は後を絶たない。英雄が愛した料理「ピザ」が有名。

ヴァンデルンク:クレプスクルム最北端に位置する国。一年中雪が積もっていることから別名「春が訪れない国」とも言われている。6~7月は雪が少なくなるため、避暑地として人気を集め始めている。雪が降らない地域から観光客が来ることも。約800年前はちゃんとした四季があったと言われているが……。ヴァンデルンク出身者には美男美女が多いと言われている。

ベウストロス:クレプスクルム東、ルーキス・オルトゥスとの国境近くにある国。帝国有数の歓楽街があることから、決して治安がいいとは言えない。かつては奴隷市場の中心地だった。

ルーキス・オルトゥス:人間界、大陸の東に位置する帝国。通称「科学の国」。代々皇帝が治めている。魔法を使えないかわりに科学技術で生活を豊かにしてきた。悪魔や天使を信仰することを禁じており、迫害の対象にもなる。クレプスクルムはルーキス・オルトゥスよりも劣っていると考えており、「田舎者」と呼ぶこともある。

◇魔界

力あるものが頂点に立てるという、悪魔たちが住む世界。

とある魔王が魔界を治めていたが、クーデターによって魔王は殺される。新たな魔王になるため、数多の悪魔が魔界統一に名乗りをあげた。勇者編にて、リディアやグランがそれにあたる。

◇天界

​神に仕える天使が住まう世界。天使は他の種族と関わることを嫌うため、天界に関する情報は乏しい。

サリカ曰く、天界は転生のためには重要な機関であり、「新たな肉体に罪を償い終えた魂を入れる」という役割を担っているという。

​天使には姓がないのが特徴。

◇神界

この世界を統べる神がいる場所と言い伝えられている。しかし実在するかは定かではない。

 

◇主に女帝編にて登場する用語

異変(黄昏の刻):オスティ-20年、世界に起きた異変のことを指す。「黄昏の刻」と一般的に呼ばれる。この異変をきっかけに、三界を繋ぐ時空間が開きやすくなり天使が魔界に迷い込んだり、悪魔が人間界に現れ人々を襲うような事件が多発する。他にも飢饉や異常気象など人間界に危機をもたらす。異変の原因を知るのは天界の中でもごく一部の者だけである。そして、とある天使が事態の解決のために動き出す。

信仰:天使や悪魔を信仰していること。信仰の対象は人それぞれだが、天使を信仰している者が多い。少なからず神などを信仰する者もいるらしい。基本的に神は認知されている存在ではないため、多くの人々は天使がこの世界の基礎を作り出したと思っている。

奴隷:主に東大陸の出身の者や、魔法が使えない者が奴隷として扱われていた。たとえ鎖に繋がれていなくても、奴隷と同等の扱いを受けた者や奴隷と似た境遇にいた者は数多くいた。ジルベルタ・オスティが女帝に君臨したことによって、すべての奴隷が解放される。

オスティ:ジルベルタ・オスティが女帝として君臨したことからついた暦。

世界大戦:オスティ8年に起きた、人間界を二分することになった大戦。世界大戦と呼ばれているが、天界と魔界は直接介入はしていない。この大戦で出た犠牲者の数は多く、歴史上最悪の災厄だったと語り継がれる。

◇主に勇者編にて登場する用語

勇者:世界を救うとされる者。基本的に数名が勇者候補として学院生活を経て、最もふさわしい者を女帝が選定するが、ごくまれに天使に選ばれる者がいる。

魔法学院:ローレンスが創立した魔法学院。基本的に6歳~18歳の子供が寮暮らしをしつつ勉学に励む。誰でも学院に入ることは出来るのだが、院生は貴族などの富裕層が多い。農民などの貧困層は数少ない働き手として家から離れるわけにはいかないので、ごく少数である。未来の勇者として勇者候補を育てる場でもある。勇者候補の院生は一般寮とは違う特別寮、通称「勇者寮」で学院生活を送る。

勇者編の勇者候補:シャーロット・ブライズ・エルランドソン(6歳)が選ばれるが、その2年後アルノシュト・アドレイア・フェルマンが天使によって勇者に選ばれたことから称号を剥奪される。エドガルド・クローノ・ベルンシュタインも勇者候補の称号を与えられる予定だった。

:罪を犯した魂は魔界で罪を償い、償い終えると天界で新たな肉体にいれられるという、輪廻転生。生まれ変わると前世の記憶はなくなるとされている。ごく一部の者は魂を視認することができ、また魂を扱う権利も持っている。魂をコレクションとして収集する者もいる。

の鎖:魔界で罪を償っている魂を世界に繋ぎとめるもの。もしそのままであれば魂は形を保っておられず、消滅してしまう。魂たちの体のどこかが鎖でつながれている。例えばトウマは首から腹にかけて鎖の模様、アオイは右手の中指に鎖を模した指輪をはめている。

魂喰い:魂を喰うこと。魂を視認できる者にしかできない。この世界の禁忌の一つである。が、魂はこの世で最も美味なものとされ、一度食べるとその味を忘れられなくなり、魂喰いを繰り返してしまう者が多い。

魂ペロペロ:魂ペロペロ。魂喰いの一歩手前の行為。最初は全身にとんでもない激痛が走るが、慣れていくと快感に変わる……らしい。

アニマ・ソムニウム:この世界のどこかにある、生まれ続ける魂を記録する役割を持つ「魂が夢を見る場所」。記録は本という形で保管され、その様を例えるならば巨大な図書館。とはいえ記録を見れるのは基本的に自分の記録だけであり他人の記録は見れないので、利用価値はほとんどない。魂を扱う死神や一部の天使のみ、ほぼすべての記録の閲覧を許されている。管理人が二人いるがどちらもクセモノ。

アルトとリディアにかけられた呪いと契約:呪いはグランによってかけられたもの。「二つの魂を繋ぎ、一定の距離を離れたら死んでしまう」というものだが、耐性の低いアルトだけが呪いにかかってしまった。アルトの魂はリディアの魂に繋がれ、彼女の傍を離れたら死んでしまう。しかしリディアはアルトの傍を離れても死ぬことはない。呪いを解くためにはグランを倒さなければならず、呪いを解くことを協力する交換条件に、リディアはアルトの魂を求めた。呪いで死ぬことがないよう、「アルトがリディアの傍を離れられない」契約を交わし、それから常に二人で行動することになる。その契約も後半ではある程度解消されるようで、時空間を結びつける指輪をお互いつけることによって、数時間だけだが傍を離れても死ぬことはなくなり別行動が可能になった。

​◇主に英雄編にて登場する用語

英雄:エドガルド・クローノ・ベルンシュタイン個人を指す。世界を滅亡の危機に追いやった魔神を封印し、世界を救ったことから英雄と呼ばれるようになった。

魔神討伐:魔神アルトを倒すため、あるいは三界の中でも優位に立つために、人間界・魔界・天界、三界が介入した戦い。3年も続いた戦いは、三日三晩の死闘の末、のちに英雄となるエドの手によって収束した。この魔神討伐をきっかけに三界の交流はほぼ断絶する。

英雄様ファンクラブ:英雄エドの妻であるフィオ(ファンクラブ会長)が作り上げた団体。英雄を称えて応援しようの会。決して遊びではなく、味方がいるのだとエドに理解してほしくて作ったものである。のわりに、写真集なんかも発行している。

エルランドソン家の失墜:元勇者候補であったシャーロットが魔神を倒せなかったことからヴァンデルンク王家から見放され、没落への道を歩み始めるきっかけになる。

主に魔神編にて登場する用語

英雄:世界を救ったとされる者。いまだにその功績は色あせることなく、世界中の人々の心の支えである。

英雄候補:新たな英雄になるために候補として選ばれた者。リディアーヌ・オルコス・ヴィラドワンとロートゥス・マグワイア・エルランドソンが候補として選ばれている。

勇者:もう称えられることのない、忘れさられた者。

魔神:世界を滅ぼそうとした者。話題に出すことさえ憚れる存在。

信仰:天使や悪魔を信仰していること。信仰の対象は人それぞれだが、天使を信仰している者が多い……が、天使に選ばれた勇者が魔神に堕ちたことによって天使の神託は偽りであったと解釈し、人々は天使に対する信仰を完全に失っている。

英雄祭:英雄エドの誕生を祝う祭り。期間は三日間、世界中で祝われる。人々は英雄のように髪を三つ編みに結んだり、頭に角の飾りをつけて祭りを楽しむ。

 

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